栗林公園の紅葉

秋が深まり、木々が鮮やかな彩りを見せる季節になりました。
紅葉の美しさは、植物が冬を越すための知恵のひとつです。
夏の間、葉は光合成で栄養を作り出す大切な役割を担っていますが、気温が下がると葉の中の緑色の成分クロロフィルが分解されます。
その時、もともと葉に含まれていた黄色のカロテノイドや、気温差によって新しく作られる赤いアントシアニンが姿を現し、私たちの目を楽しませてくれます。
つまり、紅葉は植物が冬に備えてエネルギーを蓄える過程で見せる、一瞬の芸術とも言えます。

香川県の名所のひとつ、栗林公園でも毎年見事な紅葉が訪れる人々を魅了しています。
庭園の池に映り込む紅葉や、松の深い緑と赤や黄色の葉が織りなすコントラストは、江戸時代から一歩一景と称されるこの庭園ならではの景観美です。
昼間の華やかさも素晴らしいですが、夜は紅葉がライトアップされる期間があり、幻想的な空間を楽しむことができます。

日本人は古くから紅葉狩りを楽しみ、和歌や俳句にも数多く詠まれてきました。
限られた時期にしか味わえないからこそ、心に深く残るのかもしれません。
今年の秋は是非栗林公園を訪れ、色づく木々の中で季節の移ろいと自然の奥深さを味わってみてはいかがでしょうか。



 


2025年11月17日