LPGタンカー(VLGC)
LPGタンカー(VLGC)のドックにて、幅広いメンテナンスサービスを行い、トータルエンジニアリング会社として信頼性のある技術を立証致しました。
ドック工事前訪船・乗船による事前診断を経て工事準備・ドック工事を行い、ドック工事完了後の初荷役立会による検収まで行うことで、顧客殿の高い評価を得ることができました。
A)ドック工事前訪船・乗船による事前診断
ドック工事を行うにあたり、事前診断として、作業内容の打合せ、機器の現状診断及び必要部品の確認を行いました。
事前診断により上記を確認した後、社内ミーティングを開き、必要部品手配、各メーカーとの情報共有化及びタイムスケジュール等を入念に打合せ、作業の効率化を図りました。
B)ドック工事
1)計量器(圧力計、温度計、液面計)精度検査
カーゴタンクの計量器(圧力計、温度計、液面計)については、VLGCの場合、小型LPG船に比べ荷役容量が極端に多い為、計量器に不具合があると多量の貨物積揚量に誤差が生じます。
それら正確な輸送量を確認する為、計量器の精度確認は極めて重要です。
日本で輸出入を行うLPG/VCM船の場合、計量器及びタンクテーブルは、税関殿からの承認を得る必要があり、定期的な更新が必要です。
小型LPG船同様、税関殿への説明・申請から検査・第三者検定機関の手配まで一括して完工し、船舶管理会社殿は元より、税関殿、船主殿、第三者検定機関殿からも、高い評価を頂戴しました。
2)カーゴポンプ、ブースターポンプの分解・組立工事及び部品供給
欧州メーカーのディープウェル型カーゴポンプのメカニカルシール&ボールベアリングを全て交換しました。ドック前にカーゴポンプ運転状態の現状診断を行い、ドックでの交換部品の判定・手配・交換工事を一括して行いました。カーゴポンプには、特殊なカーボン等を使った部品もあり、納期にかなりの時間を要することとなる為、弊社の事前診断によるタイムリーな部品供給により、事前の不具合是正処置を行うことができました。
3)カーゴコンプレッサー分解・組立工事及び部品供給
- ドック前にカーゴコンプレッサー運転状態の現状診断を行い、ドックでの交換部品の判定・手配・交換工事を一括して行いました。
コンプレッサーの吸吐弁は一定時間運転すると整備が必要となります。本船の予備品を効率の良いローテーションで使用し、ドック期間中に取り外した部品を整備し、再度本船予備として納入しました。
ドック時の診断結果及び成績書を提出すると共に、船級殿へ技術的説明を行い承認を得ました。
4)ガス検知器(固定式、携帯式)作動確認及び部品供給
海外メーカー製固定式ガス検知器に就航時から不具合が頻発していました。船主殿手配で日本の製品に交換しましたが、システム上、正常に機能しませんでしたので、船主殿のご依頼により、欧米と日本製の設備が十分に機能するよう設計し、改造工事を行い、正常に作動することを確認しました。 また、携帯式マルチガス検知器について作動確認及び部品交換を行い、成績書を提出すると共に、船級殿へ技術的説明を行い承認を得ました。
5)火災探知装置作動確認及び部品供給
火災探知装置の作動確認及び部品交換を行い、成績書の提出すると共に船級殿へ技術的説明を行い承認を得ました。 本船には多数の感知器があるため、定期的な自主検査を顧客殿や船員殿に推奨しています。今回のドックでも、既に船員殿による自主検査がなされていたため、メックからの技術説明とそれら本船作成のデータ表示で船級殿の高い評価を頂戴しました。
6)二酸化炭素消火設備点検
二酸化炭素消火設備のボトル検量及び作動確認を行い、成績書を提出すると共に、船級殿へ技術的説明を行い、承認を得ました。
7)荷役監視盤警報システム改造工事及び作動確認
一部システム改造工事があり、ソフトメーカー及び欧州エンジニアリング会社と協力し、完璧な改造工事・作動確認を行い、成績書を提出し、船級殿に技術的説明を行い承認を得ました。メジャー要求により、荷役監視盤の検査は特に重要視されています。
8)ホールドスペース点検
貨物タンク保守点検にとって最も重要なホールドスペース内のタンク支持装置及びその周辺の構造部材、防熱材等の点検を行いました。また、ホールド内環境保守の為、ホールドスペースのビルジアラームの点検を行いました。
9)オイルミストディテクター点検・整備
エンジンルーム内バラストタンク制御用油圧システムのオイルミストディテクターの作動確認及び整備を行いました。
バラストタンク制御用油圧システムは、100barを超える非常に高い圧力で作動しているため、油漏れが起こった時には非常に危険な状態となりますので、オイルミストディテクターの点検が重要となります。
10)IGG用酸素モニター点検・整備
IGG(Inert Gas Generator System)のピュアリティの精度は、タンク内環境制御に関して極めて重要です。そのために、IGGシステムの正常な運転が常に要求されています。
今回のドック工事において、IGG用酸素モニターの作動確認及び整備を行い、客先殿から高い信頼を得ました。
11)エンジンコントロール弁点検・整備
メインエンジンの冷却に使用される冷却水・潤滑油、燃料油加熱に使われる温度制御弁の点検・整備及び調整を行い、船員殿に技術的説明を行いました。
12)コンプレッサールーム制御弁点検・整備
コンプレッサールームで再液化装置に使用される制御弁の分解・整備、部品交換及び制御弁の微調整を行いました。
その結果、システムが正常に機能することを確認しました。
13)振動対策
運航時の振動を解析することにより、各機器を守るための防振サポートの追加をドック殿と協力して行いました。
14)タンク内部点検
タンク開放を行う場合、タンク内部点検を行っています。
タンク内に異物及び内部構造物に異常がないか、各タンク内部の点検を船主殿と行いました。